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角膜移植をお考えの皆さまへ
角膜移植について適応疾患についてt角膜移植の種類
角膜について
角膜図角膜とは、眼球の一番前にある透明なドーム状の膜です。
役割は、大きく分けて3つあります。


(a)光を通す
(b) 光を屈折させる
(c)壁として異物の侵入を防ぐ

移植手術について

角膜移植手術は、上記の機能が損なわれ、点眼などでは治療出来ない場合、適応となります。具体的には、以下に当てはまる場合です。

(a)角膜が混濁したとき
(b)角膜が光を正しく屈折しないとき
(c)角膜に穴が開いたとき、または開きそうなとき

角膜移植は、機能を失った角膜を取り除き、新しい提供角膜を縫い付けます。現段階では、亡くなられた方から提供された貴重な角膜を使用しています。
 
移植に使用される角膜について
献眼の意思のある方が亡くなられた際、ご遺族の承諾を得て、角膜センター・アイバンクに眼球が提供されます。アイバンクでは、提供された角膜が、移植手術に適しているかどうかを検査した後、公平・公正にあっせんします。緊急症例に対しては、他のアイバンクからあっせんしていただく場合もあります。
また、残念ながら、我が国における角膜の提供数は不十分なので、当院では米国のアイバンクより海外ドナー角膜を入手する方法も行っています。
 
提供された角膜の安全性について
国内ドナー角膜も、海外ドナー角膜も、安全性については同等の基準で厳しいチェックを行っています。患者様に感染症などを持ち込まないよう、可能な限り、ドナーの血液検査を行っています。また、提供された角膜の状態についても、濁り・傷の有無、内皮細胞密度など、アイバンクで詳しく検査します。これらの検査に合格した角膜のみ、角膜移植に使用されます。しかし、未知の病原体を含め、すべての感染症を確実に検出することは出来ないという現状もあります。他者の組織を自身に取り入れる移植という医療の特性上、感染等の危険性はゼロではありません。
 
角膜移植の現状と当科の取り組み
現在、日本全国で、54のアイバンクが活動しています。当院角膜センター・アイバンクもその一つです。これら54のアイバンクに、移植待機者として登録されている方は、平成20年度末で約3000名です。一方で、54のアイバンクから手術に供給される角膜数は、1400眼程度です。そして、緊急で移植を必要とし待機できない方、移植をあきらめてしまっている方も含めると、年間2万眼くらいの角膜が必要であると言われています。必要としている方に比べ、提供が大変少ない状況です。

当科では、病院内に併設する「角膜センター・アイバンク」と協力して、待ち時間の短縮を図り、安全で質の高いドナー角膜の提供を行っています。また、アメリカアイバンクとも提携して必要なドナー角膜提供の協力も仰いでいます。その結果、当科ではこの20年間に4500眼を超える角膜移植を行い、全国一の症例数と充実したスタッフや医療機器を有する施設として国内外に知られるようになりました。
 
手術の決定と他の治療方法
視力回復、疼痛(とうつう)などの辛い症状の改善、整容上の改善などのメリットと、合併症のリスク、および術後ケアの手間などをはかりにかけ、ご家族ともご相談の上、角膜移植をお受けになるかどうかをお決めください。主治医はご質問にできる限りお答えいたしますが、手術の決定はご自身でお決めいただくことになります。
他の治療法として、点眼、内服などの保存的薬物治療、コンタクトレンズなどの処置も病状によって考えられる場合もあります。また、治療をお受けにならないという選択肢もあります。
 
 
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