翼状片
翼状片の病態、症状
翼状片とは、結膜(白目)下の組織が必要以上に増殖し角膜(黒目)に入り込んだ疾患です。充血が出現したり異物感を自覚したりします。 翼状片は鼻側から角膜に侵入することが多く、次第に角膜の中央へ進行していきます。(図1)角膜が増殖した組織により牽引され乱視が出現することがあります。 (図2)黒目の中央部まで進行した場合は視力が著しく低下します。また、眼球運動が制限され、物が二重に見えることもあります。
翼状片の原因
紫外線等が考えられていますが、詳しい原因はまだ分かっていません。
翼状片の治療
点眼で充血は軽減することもあるが増殖組織が退縮することはなく、ある程度進行したら手術をして増殖組織を切除します。
手術の適応
異物感が強い場合、充血や見た目などの美容上の問題、乱視や視力低下、眼球運動制限による複視(物が二重に見えること)の出現等が手術の対象となります。 翼状片の角膜への侵入が軽度である場合はしばらく経過をみておいていいのですが、角膜の中央部付近にまでに及ぶと、手術しても良好な視力が得られないこともあるため、 角膜の周辺部と中央部の中間点まで侵入したケースが手術の良い適応です。手術をしても再発することがあります。再発した場合は手術前より悪化することもあります。
手術の方法
日帰りまたは状況に応じて入院で行います。一般的には局所麻酔で行います。手術時間は状態によって異なりますが、大体30分から1時間位です。 単純に増殖組織を切除しただけでは再発する可能性が高く、再発率は30~50%程度であるといわれています。再発を予防するために通常は切除した部分に 正常の結膜を持ってきて縫い付ける手術を併用します。(図3)これにより再発率が低下すると報告されています。再発を繰り返す症例にはマイトマイシンCという抗がん剤の一種を使用します。この薬剤は増殖を抑える効果があり、増殖組織を切除した後に3分間塗布します。 これにより再発率が低下するという報告があります。また、羊膜という赤ちゃんがお腹の中にいる時に包まれていた膜を使用することもあります。
手術の合併症
出血、感染、眼球運動障害、角膜や眼球穿孔等があります。
手術後
痛みや充血、眼脂(めやに)、を伴います。痛みは2~3日でひきますが、しばらくはごろごろした異物感が残ります。充血は約1ヶ月位続きます。手術後は感染、炎症を抑えるために点眼、眼軟膏や内服等を処方致します。状態にもよりますが、一般的に手術後に6ヶ月位は通院し診察を受けていただく必要があります。
当院での手術件数
当院での昨年の手術件数は90件であり、全体の約5%程度です。