当院でのHBc抗体陽性ドナーの取り扱いについて
日本眼科学会、日本角膜学会より角膜移植を実施するうえでの「ドナースクリーニングにおけるHBc抗体陽性の取り扱い」について、下記の通り、通知がありました。
日本眼科学会
日本眼科学会:ドナースクリーニングにおけるHBc抗体陽性の取り扱い
日本角膜学会
ドナースクリーニングにおけるHBc抗体陽性の取り扱い | 日本角膜学会
この通知を受け、当院眼科では、角膜のあっせんをうける角膜センター・アイバンクと協議し、以下の通り、対応することと致しました。
【移植施設側】
<レシピエント検査>
- 国内ドナー待機登録患者は、原則全員HBs抗体検査を施行し、その結果をアイバンクに共有する
- HBs抗体検査施行後、陰性だった場合の対応
1) HBワクチン接種・・・・HBs抗体の確認を実施
2) 今までHBc抗体陽性ドナーからの角膜移植でB型肝炎を発症した報告はないため
、そのまま移植を受ける
3) HBc抗体陽性のドナー角膜の移植は受けない
上記3つの方法を患者に提示し、患者自身で選択をしてもらう
<移植者対応>
- HBc抗体陽性のドナー角膜を移植する場合、移植前に術者がドナー由来のHBV感染は過去に報告がなく可能性が低いことを説明して同意を取得する
- HBs抗体陽性レシピエントへの移植
<移植入院中>
- HBc抗体陽性のドナー角膜を患者の同意があるうえ(2)の場合)入院時にレシピエントの採血を施行し、その血液検体を保管する
- HBc抗体陽性ドナー角膜の移植後の輪部は、期限を決めずに保管する
<移植後>
- HBc抗体陽性のドナー角膜を移植した場合、移植後のHBVのモニタリングとして、移植後3-6か月でHBV-DNA検査を施行する
上記対応を実施するために、当院では角膜センター・アイバンクに、以下の対応を依頼しております。
【アイバンク側】
<ドナー検査>
- ドナー検査は、HBc抗体検査を必須で施行する
- HBc抗体が陽性ドナーでは、残血清でHBV-DNAでウィルスの有無を調べる
→HBV-DNA陽性の場合、角膜の斡旋はしない
あっせん禁忌ではないため、不使用臓器とはせず、アイバンクで保管を行う(5年期限) - ドナーの血液検査の残血清は期限を決めず-80℃のディープフリーザーにて保管を行う
- HBc抗体陽性、HBV-DNA陰性の場合は、検査結果を移植病院に情報提供し、あっせんを受けるかの確認を行う
<あっせん>
- アイバンクは、移植施設から連絡を受け、HBc抗体陽性ドナー斡旋可(免疫抑制剤が必要な患者は除外)レシピエントリストの作成を行う
<移植後>
- アイバンクはHBc抗体陽性ドナーの角膜を移植したレシピエントのリストを作成し、移植後の経過をおえるようにする