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ドライアイ外来では、一般外来では十分対応できないドライアイ患者さんを診ています。ドライアイの症状は患者さんの生活背景の影響が大きく、実に多彩です。治療に関 しても、点眼薬だけでいい方や、外科的治療が奏功するケースなど、人によってさまざまです。患者さんの症状をよく聞いて、一人ひとりに合った治療を選択するようにしています。
2010年は三つの画期的な出来事がありました。ひとつは、マイボーム腺機能不全(MGD)の定義と診断基準が定まったことです。MGDは加齢やドライアイに深い関わりがあると知られた疾患ですが、定義と診断基準が定まっていなかったため、見過ごされたり適切に治療されなかったりしてきました。今後は罹患率や治療選択などの研究が進むことが期待されます。
二つめは、1995年以来15年ぶりにドライアイの新薬(ジクアフォソルナトリウム点眼液)が発売されたことです。これは眼表面のムチン蛋白を増やして涙液層を安定化させたり、涙液量を増やしたりする作用があります。従来の点眼液ではうまく治療できなかったタイプのドライアイも治療できる可能性があります。
三つめは、新しい形状の涙点プラグ(パンクタルプラグF)が発売されたことです。これはシリコンゴム製で、インサーターにセットされている状態では細く伸ばされた形状になっていますが、涙点に挿入すると先端が丸く球状に縮むというもので、約1.1mm径の涙点プラグと同等の閉鎖効果があります。挿入しやすく脱落しづらいというメリットがあり、従来の涙点プラグではフィットしなかった患者さんにも使用できる可能性があります。ドライアイは社会環境の変化にともない、患者数は確実に増えており、社会的にも重要な疾患となっています。当科では引き続き精力的に取り組んでいきます。 |
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