島﨑 新しいものを導入されるにあたって、ビッセン先生の舞台が水道橋病院だったということも一つあるのではないかと感じたのですが。
ビッセン おっしゃる通りです。同じ歯科大でも市川は総合病院で、水道橋病院は歯科が中心。そして、そこに眼科と内科だけがある。新しいものを入れる時でも大きな大学病院だと承認をとるのが大変だと思いますが、内科、眼科と大きな歯科だけで非常に恵まれていたと。倫理委員会などしっかり見てくださる先生方もいて、大学病院というお墨付きもあり、さらに小さな眼科なので、みんなでチームになって新しいことを一緒にやろうということができました。
島﨑 水道橋では歯科の先生方がとても協力的ですよね。
ビッセン 歯科の先生は自費診療に対する理解がある。レーシックの時も、眼科でこんなことをやっていますとクリニックにポスターを掲示したり、ご家族や患者様で興味のある方をご紹介下さったり。自らモニターに参加された先生もいらっしゃいます。
島﨑 太田先生は水道橋のカラーというか、ビッセン先生のスタンスについてはどう感じていますか?

太田 私はビッセン先生の近くにいて、このモチベーションはいったいどこからくるのだろうといつも思っていました。結局、「患者さん達に喜んで欲しい」ということに行きついているのだと思うんです。
ビッセン 先生にそう言っていただけて嬉しいです。レーシックであれば、コンタクトなしで見たいと思っている患者さんの思いをかなえてあげたいと思うわけですし、多焦点やフェムトセカンドレーザーも患者さんにとって、より回復が早いとか、よりよい視機能が得られるという事であれば、それを目指したい。患者さんが喜んで「よかったです」と言って下さるのがパワーの源になっていると思います。
島﨑 もともと屈折矯正などのビッセン先生に近い分野をやっていた山口先生はどうですか?

山口 角膜移植の分野は、すごくざっくりと手術を決めてるんですよね。屈折矯正だと、ものすごく細かく測定して決めるのですが、角膜移植だと濁っているから移植、そして角膜がきれいになったらうまくいったと。でも「なんかこの人、あまり満足してくれていないな」と感じることもあって。屈折矯正では当たり前のように行っている、“見え方の質”を上げるというのを角膜移植でやっていきたいなと。それが最近、少しずつ形になってきたと感じています。
島﨑 山口先生はこの前、「よりよく見える ずっと見える」という講演をしたけれど、この分野は白内障や屈折矯正が先輩。その知見が、角膜移植手術にもようやく入ってきたと思います。
ビッセン 一方で、レーザー手術による角膜の創傷治癒などについては、角膜の生理がよくわかっている市川の先生たちともっと一緒にやりたかった。私自身がレーシックを受けた時に、島﨑先生が診てくださって、すごいSPK(表層点状角膜炎)だと。それで「レーシック後のドライアイで僕たちイニシアティブとれるんじゃない」とおっしゃったんですよ。後にレーシック後のドライアイが話題になりましたが、そういうことをもう少し一緒にできればよかったと思っています。
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