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アニュアルレポート創刊30周年記念 座談会 東京歯科大学眼科の進歩と未来

※撮影直前までマスクを着用し、十分配慮をしたうえで撮影しております。

人を巻き込む熱意と実証が新規導入にはともに不可欠

島﨑

島﨑 東京歯科大眼科の中で、水道橋病院と市川総合病院は、領域は違うけれど、どちらも新しいことを積極的に取り入れようという姿勢は共通しています。中でも水道橋病院は、日本でも最初に導入されてきたことがたくさんあります。これから眼科でもどんどん生まれていくであろう新しい技術をどのように臨床に取り入れていくか。今日はビッセン先生を中心に、これまでの経験と今後の在り方についてみんなで話し合えればと思っています。

ビッセン先生の特別講演(Annual Report 2021 p.29)でも、最初レーシック、次に単焦点、それからフェムトセカンドレーザーを、日本で初めて導入された経緯を話されていました。こうした新規性を大事にしてこられたというのは、どんなお考えがあってのことだったのでしょうか。


ビッセン

ビッセン ありがとうございます。どれも実際、海外でなさっている先生を訪ねて自分の目で技術を見て、「将来これはきっと重要な手術になる、治療法になる」と確信したものばかりなんですね。世の中で、新しいものへの反応は大体ネガティブ。ちょっと欠点を聞くと、あたかもそれが主流のように思ってしまう。でも実際に見に行くとそうでもない。

そこで実際に見て、自分で確信した後に、次のステップとしては日本でどうやって実践するかと。新しい技術があっても誰かが始める、承認をとる、臨床結果を出すということをやらなければ前に進まないので、そこのところをどうやって乗り越えるかを考えてきました。

その多くは承認を待たずに、国際学会でデータが発表されたのを聞き、いいと思えば水道橋病院で、実証された安全性データに基づいて説明し、ただ新しいのではなく、臨床成績ももちろん出していくし、経営的にもプラスになるだろうときちんと説明し、倫理委員会での承認を得て導入する。特にレーシックとフェムトセカンドレーザーはレーザー装置が何千万円という高価なものですので、その予算をつけてもらうように交渉し、実際に始める。始めただけではダメなので、ちゃんとデータをとって論文化する。全てにおいて、このサイクルを回してきました。

自分がすごく努力して入れて、かつ、やるんだという気持ちを持ってやらないと新しいものは入れられないんですよね。その気持ちは市川総合病院の先生方の、新しいものに日々挑戦されている姿勢から、大きなパワーをもらっていると思います。


信頼できる治療を見抜く目をどう培うか

島﨑 新しいものといっても山のようにあり、玉石混淆なわけですよね。その中で「これだ」というものを見つける眼力のようなものがすごく大切だと思いますが。

ビッセン まずは自分が信頼している長い付き合いの海外の先生方が実際に使われて、いいと言っているという事が、私にとっては信じる土台になります。それから海外の学会ではいいデータばかり見せられますが、見ると「これはなんか怪しい」というのと「これは信頼できる本物だ」というのがわかります。新しいことの中で「これはいけるんじゃないか」と思えるものは、ほんのいくつかだと思いますね。

島﨑 僕はレーシックの時に、導入検討からご自分で手術を受けられたところまで見せていただいて。「これだ」という熱意というか、嗅覚みたいなものをとても感じました。

ビッセン 私は眼科医になって3年目でドイツのボン大学に留学したんですが、そこが超音波水晶体乳化吸引術という、当時欧米でも一部しかやっていない術式をされていた。まだ新しかったので、ボン大学の教授もすごく悪く言われていましたが、実際に手術を見たら素晴らしく、逆風の中でも淡々とやられていた。結果、今では主流の手術になっています。その姿はとても参考になりました。

島﨑 新しいものを取り入れるにしても、留学体験や国際性は本当に大事ですよね。

ビッセン 多焦点レンズも最初はドイツ留学時代の友人の先生たちの話を聞いて、これはきっといいんだろうと思っていたら、たまたま慶應大学での新しい多焦点レンズの治験に関与させていただくことになりました。今、日本で承認されている多焦点レンズの多くは水道橋で治験をしたものです。こんな小さい眼科でそれをやってきたというのはすごいなと思います。視能訓練士さん、看護師さん、みんなの協力があってのことですが。

PHOTO


データを発表することで国際的な仲間ができる

ビッセン

島﨑 ビッセン先生は、きちんとデータを出して発表することによって、眼科界全体、ひいては社会全体に還元していくというスタンスを変わらず貫いていらっしゃいますね。

ビッセン 認めてもらうためには学会で話しただけではダメで、やはり論文化しなければならないということを強く感じていました。発表するうちに国際的な仲間ができる。いい事も悪い事も早いうちに教え合える仲間がいたからこそ、新しい治療を自信を持って導入することができたのだと思います。

山口 中国では近年、眼科医がものすごい数の論文を出しています。日本もハングリー精神というか、もっと論文を書いて発表するべきではと思うのですが、負けていますよね。


新しい治療導入の目的は“見え方の質”向上

島﨑 新しいものを導入されるにあたって、ビッセン先生の舞台が水道橋病院だったということも一つあるのではないかと感じたのですが。

ビッセン おっしゃる通りです。同じ歯科大でも市川は総合病院で、水道橋病院は歯科が中心。そして、そこに眼科と内科だけがある。新しいものを入れる時でも大きな大学病院だと承認をとるのが大変だと思いますが、内科、眼科と大きな歯科だけで非常に恵まれていたと。倫理委員会などしっかり見てくださる先生方もいて、大学病院というお墨付きもあり、さらに小さな眼科なので、みんなでチームになって新しいことを一緒にやろうということができました。

島﨑 水道橋では歯科の先生方がとても協力的ですよね。

ビッセン 歯科の先生は自費診療に対する理解がある。レーシックの時も、眼科でこんなことをやっていますとクリニックにポスターを掲示したり、ご家族や患者様で興味のある方をご紹介下さったり。自らモニターに参加された先生もいらっしゃいます。

島﨑 太田先生は水道橋のカラーというか、ビッセン先生のスタンスについてはどう感じていますか?

太田

太田 私はビッセン先生の近くにいて、このモチベーションはいったいどこからくるのだろうといつも思っていました。結局、「患者さん達に喜んで欲しい」ということに行きついているのだと思うんです。

ビッセン 先生にそう言っていただけて嬉しいです。レーシックであれば、コンタクトなしで見たいと思っている患者さんの思いをかなえてあげたいと思うわけですし、多焦点やフェムトセカンドレーザーも患者さんにとって、より回復が早いとか、よりよい視機能が得られるという事であれば、それを目指したい。患者さんが喜んで「よかったです」と言って下さるのがパワーの源になっていると思います。

島﨑 もともと屈折矯正などのビッセン先生に近い分野をやっていた山口先生はどうですか?

山口

山口 角膜移植の分野は、すごくざっくりと手術を決めてるんですよね。屈折矯正だと、ものすごく細かく測定して決めるのですが、角膜移植だと濁っているから移植、そして角膜がきれいになったらうまくいったと。でも「なんかこの人、あまり満足してくれていないな」と感じることもあって。屈折矯正では当たり前のように行っている、“見え方の質”を上げるというのを角膜移植でやっていきたいなと。それが最近、少しずつ形になってきたと感じています。

島﨑 山口先生はこの前、「よりよく見える ずっと見える」という講演をしたけれど、この分野は白内障や屈折矯正が先輩。その知見が、角膜移植手術にもようやく入ってきたと思います。

ビッセン 一方で、レーザー手術による角膜の創傷治癒などについては、角膜の生理がよくわかっている市川の先生たちともっと一緒にやりたかった。私自身がレーシックを受けた時に、島﨑先生が診てくださって、すごいSPK(表層点状角膜炎)だと。それで「レーシック後のドライアイで僕たちイニシアティブとれるんじゃない」とおっしゃったんですよ。後にレーシック後のドライアイが話題になりましたが、そういうことをもう少し一緒にできればよかったと思っています。


眼科医に腕は関係ない?未来の眼科のあり方とは

太田 私は水道橋病院で、日本で初めてフェムトセカンドレーザーに触った後期研修医でした(笑)。

ビッセン 私が20代の頃から、将来はレーザーの時代が来るだろうと言われていて、やっと使えそうなレーザーが出てきたのが2008年。まだ白内障の患者さん全員に適応にはなりませんが、やがて、全てレーザーで手術できる時代が来ると思います。

島﨑 僕たちの世代は、手術がうまくなりたいとか、診療技術を上げたいという事がモチベーションだったんですが、今後は腕が関係ない世界になっていくでしょうね。医療の均てん化と言う意味ではいいことなのだけれど。

島﨑

山口 内皮移植も、細胞注入になると腕は関係ないですからね。角膜の診断についてはAIがかなり入り込んできています。中国ではスマホで撮って診断すると結構な正答率で診断できるようになっているらしいです。一方で、患者さん一人ひとりを見てみると、治らない患者さんもいるので、眼科医がやることはまだまだたくさんあるんじゃないかと思います。

島﨑 最近読んだ本に、AからBにいきなり行くのではなく、角度にして20度ぐらい曲げるとうまくいくし続く、という話が書いてあって、今後の眼科のイノベーションもそんな感じなのかなと。AI やオンライン化の先に何が広がっているのか、「20度先の未来」を見届けたいですね。

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