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国内留学で広がる角膜診療の未来

市川病院といえば角膜移植、というイメージが強い一方、 「アカデミックであれ」をモットーに、研究も盛んです。そこで今回は市川病院の研究活動について座談会を行いました。

角膜移植、ドライアイ、 アレルギー、再生医療が柱


── まずは皆さんが行っている研究に ついて教えてください。

冨田 私は4年前、山口先生にアドバイスをいただいて涙液の研究で科研費をとれたのが研究の第一歩でした。そのまま涙液の詳しい検査と眼の環境、角膜移植の予後について研究を行って います。

山口 僕の研究テーマの一つは、眼光 学を角膜疾患に応用することで、波面 収差の解析と視機能を中心に研究して います。従来、眼光学は正常眼や比較 的軽度の視機能異常を対象にしていま したが、歯科大に来て角膜疾患で失明する患者さんが多いと聞いて、研究し始めました。もう一つは眼の 環境と移植の予後についてで、特に前房水をテーマにしています。

 世の中の研究の形もメンバーも変わってきたけれど、うちの研究の柱は伝統的には角膜移植、ドライアイ、アレルギー、再生医療。僕は若い頃に恩師に「研 究は2本柱で行け」と言われて。僕の場合、その片方には必ず角膜移植 があって、もう片方がドライアイになったり再生になったりしてきた。最近はまとめフェイズに入ってきて、自分が教育してきたやり方がどうだったのか、10年前ぐらいにやったことが結局どうなったのか。そういうことに関心がある。特に今、一番興味があるのは、角膜手術の予後について。今までうまくいかなかったものをもうちょっとどうにかしたい、という思いが常にあるので。

佐竹 僕は眼の炎症が非常に強いスティーブンス・ジョンソン症候群などの患者さんと接する機会が多いんですが、 移植、そして培養上皮という選択肢が加わっても、100%治療できるわけではない。また、角膜移植は移植したら終りではなくスタートで、移植した角膜をどのようにいい状態に維持・継続していくかがポイント。どういう人が治療のメリットを得られてどういう人が得られないのか、また、得られない場合はどう変えていけばいいのかといったことや、予防的な部分にも興味があります。

比嘉 僕が研究員として最初にお手伝いさせていただいたのが培養上皮の移植で、培養上皮シートを作りました。角膜の上皮を再生するときに重要なのが幹細胞の研究です。実際に幹細胞を 移植して、角膜上皮が再生した患者さんの例もありますが、それだけではだめで、眼表面の環境全体をいかによくする かというところにつながるような幹細胞の移植を目指して研究しています。

 私はレトロスペクティブをしっかりやることの大切さとおもしろさ を歯科大で学びました。思い入れが強いのは「翼状片500眼の成績」という研究。これをまとめたことで、患者さんに、「うちで手術をすると再発率は3%ですよ」と言えるようになりました。

角膜移植、ドライアイ、 アレルギー、再生医療が柱

 

豊富な症例とサンプルを 生かす “協力の文化”


 角膜移植6000件突破に象徴されるように、臨床サンプルが多いというのもうちの一つの特徴だと思う。あとは角膜センターの存在が大きい。研究施設としてもしっかりしているし、比嘉さんはじめ研究員もいて、そういうシステムが非常に研究をやりやすくしています。

比嘉 先生方が臨床で疑問に思うことがあった時に、それを調べて得られたものをフィードバックして、それがまた治療につながるのが楽しい。そういうところから先生方の研究が始まることもあると思うのでやりがいがあります。

山口 基本的にはみんなが協力してくれるのもうちの特徴ですね。たとえば僕が前房水をやると言ったら、あっという間に200ぐらいサンプルが集まる。前房水は間違いなく世界一のデータベースですよ。

佐竹 それはみんな同じようにオペするから。他施設だと、この手術はこの先生、というように棲み分けがされていることが多いでしょう。歯科大は白内障にしても移植にしても翼状片にしても全員が行うので。

山口 看護師さんや視能訓練士さんも協力的ですよね。みんな、研究マインドがある。

 

おもな論文一覧(2013年~ 2017年)

Shimizu E, Yamaguchi T, Tomida D, Yagi-Yaguchi Y, Satake Y, Tsubota K, Shimazaki J. Corneal Higher-order Aberrations and Visual Improvement Following Corneal Transplantation in Treating Herpes Simplex Keratitis. Am J Ophthalmol. 2017;184:1-10.

Yazu H, Yamaguchi T, Dogru M, Satake Y, Tsubota K, Shimazaki J. Decreased Visual Acuity by an Irregular Corneal Posterior Surface After Repeat Descemet Stripping Automated Endothelial Keratoplasty. Eye Contact Lens. 2017,16.

Shimazaki J, Maeda N, Hieda O, Ohashi Y, Murakami A, Nishida K, Tsubota K; Japan Pellucid Marginal Corneal Degeneration Study Group. National survey of pellucid marginal corneal degeneration in Japan. Jpn J Ophthalmol. 2016;60(5):341-8.

Tomida D, Yamaguchi T, Ogawa A, Hirayama Y, Shimazaki-Den S, Satake Y, Shimazaki J. Effects of corneal irregular astigmatism on visual acuity after conventional and femtosecond laser-assisted Descemet's stripping automated endothelial keratoplasty. Jpn J Ophthalmol. 2015;59(4):216-22.

Yamazoe K, Yamazoe K, Yamaguchi T, Omoto M, Shimazaki J. Efficacy and safety of systemic tacrolimus in high-risk penetrating keratoplasty after graft failure with systemic cyclosporine. Cornea. 2014;33(11):1157-63.

Hirayama Y, Satake Y, Hirayama M, Shimazaki-Den S, Konomi K, Shimazaki J. Changes in corneal sensation, epithelial damage, and tear function after descemet stripping automated endothelial keratoplasty. Cornea. 2013;32(9):1255-9.

Hayashi T, Hirayama Y, Yamada N, Shimazaki-Den S, Shimazaki J. Descemet stripping automated endothelial keratoplasty for bullous keratopathy with an irregular posterior surface. Cornea. 2013;32(9):1183-8.

Yamazoe K, Yamazoe K, Shinozaki N, Shimazaki J. Influence of the precutting and overseas transportation of corneal grafts for Descemet stripping automated endothelial keratoplasty on donor endothelial cell loss. Cornea. 2013;32(6):741-4.

 

臨床と研究を行き来して テーマを見つけ、深める


 僕は冨田先生に聞きたいんだけど、最初は研究がしたくて歯科大に来たわけではないでしょう。手術を覚えたいとか。それがどうして研究を一生 懸命にするようになったのか、その変遷を知りたいな。

冨田 外来を持たせてもらい、患者さんに説明するにあたって、自分一人の経験では大して説得力もなければ自信もなかった時、上の先生方がまとめてこられたものを使って説明できたのがきっかけですね。そうすると今度は、自分がやってきた中で、もっと良くするにはどうすればよいかが気になったり、振り返ることが今後どうすればよいかにつながるのではといった視線の変化があって。例えばDSAEKだと、切られたものを入れるだけじゃないですか。そこにあまり個人差はないはず。それなのに、人によって視力が出たり出なかったりするのはなぜだろうと考えた時に、原因はグラフトか、自分の腕か、患者さんの眼環境かという3つのファクターしかなくて。それを突き詰めていって、患者さんの眼の環境の方に関心が向いていったんです。

 うーん。クリニシャンサイエンティストの鑑だな(笑)。

臨床と研究を行き来して テーマを見つけ、深める

 

世界に通じる研究を志して 学会発表より論文重視


山口 歯科大の良さは症例数の多さな ので、そこから世界に通じる普遍的な 事象を見出して世界に発信していくことが大切なのではと思うんです。ここでたくさんの患者さんを診て気づいたことから、後世に残るような法則を見つけることができるのではないか。前房水で得られた知見も、ずっと残っていくような大事な研究になると思っています。

 そのためにも、学会発表したものは論文にするというのが当科のルール。どんなに大きな学会発表でも、聴いているのは数百人ですからね。時間的にも空間的にも、論文にする時のインパクトの方が断然大きいわけで。

 歯科大では学会に出すかどうかを決める時に、それは論文になるかというのを検 討してから出しますよね。その分、なかなか学会に行けなかったりはしますが(笑)。 研究進捗報告会「ADEOS)アデオス)※」の存在も大きいと思います。「計画中/ 進行中/解析中/論文執筆中」など段階分けがされていて論文になるまでラインナップされ続ける。 決して解放されない。

佐竹 僕が論文をなかなか書かないか らできた会だと思います(笑)。

 「あれはどうなった会」(笑)。
「ADEOS」の意義は、研究の “見える化” という意味でも大きい。誰が何を研究しているのかがわかるから、協力もしやすい。

── みなさん年間で何本ぐらい論文を 書いているのでしょうか。

 僕は個人的にはファーストオーサーで年間2本はデューティだと思っています。

山口 僕は指導も入れると年間10本ぐらいですかね。

 山口先生が若い先生方の論文の指導をしてくれているのは業績の面でもありがたいけれど、何よりも、論文は書いてみて初めてわかることも多いので、彼らの将来にとって絶対にいいと思う。

 フェローで研修に来ても、母校に戻ったら書きたくても書ける環境にない先生もあると聞きます。そういう先生にとって、歯科大にいる間に業績をつくれるのは、お互いにとってウィンウィンですよね。

 

外部との連携も強めて 最先端の研究を


── 歯科大眼科の研究活動は今後、どうなっていくのでしょうか。

佐竹 どんなに技術が進んでも、細隙 灯顕微鏡の反対側に見えるものに「なんでそうなるんだろう」という素朴な疑問を持ち、どういうふうに克服していくかを考えることの大切さは変わらないと僕は考えています。それが研究や医療技術の進歩にもつながるのではと。

山口 この分野で話題のオミクス、網羅解析を使って疾患の病態の全容を解明するような研究をしていきたいです。涙液と前房水との角膜におけるコネクションについても、冨田先生と一緒に証明したいですね。

 僕はある意味、歯科大の中でやれることの限界をちょっと感じているんです。オミクスにしてもこれだけ進歩が早いと、自分たちの力で全部やるのはかなり無理がある。もちろん僕らが臨床のレトロスペクティブスタディをやるのもすごく大事だけど、もう一歩、病態解明が進むためには、外の専門家の力を借りるだけでぐっと進む部分がある。そういうフットワークの軽さが、今後の一つの方向ではないかと思っています。

 それは臨床でも感じますね。他施設と共同してデータを出すなどの目線があってもいいと思うし、歯科大がオールアンドベストではないので、他大学のやり方などを聞いて、こう変えた方がいいのではという視点があれば、歯科大の研究はもっとよくなるし、もっと強くなるのではと思います。

比嘉 おそらく、僕らが研究室で把握しきれないことで、先生方が「多分これをやったらすごいだろうな」と思うことがたくさんあるのだと思う。それを僕らがどれだけくみ取れるかで研究がどこまで進むかが決まることもあるんじゃないでしょうか。研究室と病院がこれだけ近くにある施設もないと思いますので、今後も密に連携しながら、先生方の研究をサポートしていければと思います。

── 本日はありがとうございました。

臨床と研究を行き来して テーマを見つけ、深める

 

おもな論文一覧(2013年~ 2017年)

角膜移植【基礎】

Yagi-Yaguchi Y, Yamaguchi T, Higa K, Suzuki T, Aketa N, Dogru M, Satake Y, Shimazaki J. Association between corneal endothelial cell densities and elevated cytokine levels in the aqueous humor. Sci Rep. 2017;19;7(1):13603.

Aketa N, Yamaguchi T, Asato T, Yagi-Yaguchi Y, Suzuki T, Higa K, Kurihara T, Satake Y, Tsubota K, Shimazaki J. Elevated Aqueous Cytokine Levels in Eyes With Ocular Surface Diseases. Am J Ophthalmol. 2017;184:42-51.

Yagi-Yaguchi Y, Yamaguchi T, Higa K, Suzuki T, Yazu H, Aketa N, Satake Y, Tsubota K, Shimazaki J. Preoperative Aqueous Cytokine Levels Are Associated With a Rapid Reduction in Endothelial Cells After Penetrating Keratoplasty. Am J Ophthalmol. 2017;181:166-173.

Aketa N, Yamaguchi T, Suzuki T, Higa K, Yagi-Yaguchi Y, Satake Y, Tsubota K, Shimazaki J. Iris Damage Is Associated With Elevated Cytokine Levels in Aqueous Humor. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2017,1;58(6):BIO42- BIO51.

Yamaguchi T, Higa K, Suzuki T, Nakayama N, Yagi-Yaguchi Y, Dogru M, Satake Y, Shimazaki J. Elevated Cytokine Levels in the Aqueous Humor of Eyes With Bullous Keratopathy and Low Endothelial Cell Density. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2016;57(14):5954-5962.

再生医療

Konomi K, Satake Y, Shimmura S, Tsubota K, Shimazaki J. Long-term results of amniotic membrane transplantation for partial limbal deficiency. Cornea. 2013;32(8):1110-5.

Satake Y, Dogru M, Yamaguchi T, Tomida D, Hirayama M, Shimazaki J. Immunological rejection following allogeneic cultivated limbal epithelial transplantation. JAMA Ophthalmol. 2013;131(7):920-2.

Higa K, Kato N, Yoshida S, Ogawa Y, Shimazaki J, Tsubota K, Shimmura S. Aquaporin 1-positive stromal niche-like cells directly interact with N-cadherin-positive clusters in the basal limbal epithelium. Stem Cell Res. 2013 ;10(2):147-55.

ドライアイ

Shimazaki J, Seika D, Saga M, Fukagawa K, Sakata M, Iwasaki M, Okano T. A Prospective, Randomized Trial of Two Mucin Secretogogues for the Treatment of Dry Eye Syndrome in Office Workers. Sci Rep. 2017,9;7(1):15210.

Shimazaki-Den S, Dogru M, Higa K, Shimazaki J. Symptoms, visual function, and mucin expression of eyes with tear film instability. Cornea. 2013;32(9):1211-8.

Shimazaki-Den S, Iseda H, Dogru M, Shimazaki J. Effects of diquafosol sodium eye drops on tear film stability in short BUT type of dry eye. Cornea. 2013;32(8):1120-5.

Ban Y, Shimazaki-Den S, Tsubota K, Shimazaki J. Morphological evaluation of meibomian glands using noncontact infrared meibography. Ocul Surf. 2013;11(1):47-53.

眼光学

Kasai K, Kato N, Konomi K, Shinzawa M, Shimazaki J. Flattening effect of corneal cross-linking depends on the preoperative severity of keratoconus. Medicine (Baltimore). 2017;96(40):e8160.

Shimizu E, Yamaguchi T, Yagi-Yaguchi Y, Dogru M, Satake Y, Tsubota K, Shimazaki J. Corneal Higher-Order Aberrations in Infectious Keratitis. Am J Ophthalmol. 2017 Mar;175:148-158. doi: 10.1016/j.ajo.2016.12.014. Epub 2016 Dec 28. PubMed PMID: 28040524.

Yagi-Yaguchi Y, Yamaguchi T, Okuyama Y, Satake Y, Tsubota K, Shimazaki J. Corneal Higher Order Aberrations in Granular, Lattice and Macular Corneal Dystrophies. PLoS One. 2016;11(8):e0161075.

 

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