@アンテナぴかっと広げて
医学部を卒業した後は、ポリクリで回って楽しかった眼科に入局
ドライアイの研究のため、勉強を始めるも当時は日本語の専門書はなくとても大変だったが、その甲斐あって国産初の波面センサーが完成解体新書を作るときも同じような苦労をしたのかと思いを馳せて
A輪をぐんぐん広げよう
2年間NY、ロチェスター(音楽の街)に留学
・留学で得られること
良い研究
論文を書く、人脈を作る
外国文化を知る、体験する
いろんな友達を作る
あちこち旅行する
たくましくなる
Bみんなで仲良くwinwin
1 基礎知識と典型例
角膜炎を起こす代表的な病原体と典型所見
・細菌(グラム陽性菌):限局性膿瘍、常在菌由来、薬剤耐性の場合がある
・細菌(グラム陰性菌):輪状膿瘍、すりガラス状角膜浮腫、強い炎症所見、進行が早い
・単純ヘルペスウイルス:樹枝状 or 地図状角膜炎、角膜知覚低下、痛みが少ない
・真菌(酵母):カラーボタン様病変、縫合糸感染、ベースにステロイドや基礎疾患、角膜実質浅層
・真菌(糸状菌):植物による外傷、CL 装用、強い炎症所見、細菌性に比べて緩徐な進行
・アカントアメーバ:放射状角膜神経炎、強い毛様充血と痛み、ほぼ全例 CL 装用(しかし日本では約 1.7%~2.3%が CL 非装用者におこると報告されている、インドでは 4 割が非装用者⇒水道水や汚い川など)
2 検査法 それぞれの利点と欠点
・塗抹鏡検
利点:細菌・真菌・アメーバの診断確定する
欠点:菌種や薬剤耐性はわからない
⇒塗抹+培養が理想的で確実な診断を得られる
・培養
利点:菌種と薬剤感受性がわかる
欠点:コンタミネーションが否定できない
・免疫クロマト法(ヘルペスチェック等)
利点:迅速診断、特異度 100%(陽性なら確定)
欠点:感度が低い(陰性でも否定できない、偽陰性率がかなり高い)
・PCR
利点:非典型例のヘルペス・アメーバが診断できる、感度が高い
欠点:感度が高すぎるため細菌感染等も弱陽性になる、保険適用少ない
◆積極的に検査を行うべき症例
・長期化が予想される重症例
:治療が2~3 か月に及び、不確実な診断だと難渋する可能性がある
・所見が非典型的で原因が類推できない症例
Ex.)真菌に見えたが PCR の結果ヘルペスであった症例、ヘルペスや真菌を疑ったが培養や鏡検の結果キノロン耐性コリネバクテリウムであった症例、細菌に見えたが鏡検の結果真菌だった症例、1daySCL の不適切使用後に真菌感染が疑われたが細菌感染であった症例、輪状膿瘍を認め細菌を疑われたが擦過鏡検・PCR の結果アカントアメーバであった症例
・真菌・アメーバが疑われる症例
Ex.)フザリウムは真菌感染最多 4 割で進行すると角膜深層に及び予後不良、擦過培養 3 回目でアスペルギルスが検出された症例
・他院で治療されるも改善せず紹介されてきた症例
Ex.)近医で真菌が疑われたが治療難渋し紹介となり擦過鏡検で肺炎球菌が検出された症例、感染性角膜炎の 8 割は細菌性
3 難治例への対処
1.塗抹鏡検と培養:治療開始されていると検出されにくい、真菌アメーバは検出できる
2.PCR:ヘルペスやアメーバは有用
3.抗菌薬点眼を 1 週間使用してみる:ただし 2 系統まで、MRSA を疑う場合はバンコマイシン点眼併用
4.最後の手段は病理検査:抗酸菌染色、PAS 染色、グロコット染色を依頼する
◆治療効果を判定するポイント
・スリット写真を撮る(同カメラ、同条件で)
・治療開始後 3-4 日後で判断する、真菌やアメーバは 1-2 週間単位で
・ステロイドを使わない:治療効果が判断できなくなる
◆抗菌薬点眼に反応しないパターン
・細菌性だが起炎菌をカバーできていない
・抗酸菌、真菌、アメーバ、その他の病原体
・感染ではない
Ex.)カタル性角膜浸潤:臨床所見から診断するしかない(好発年齢 50-60 代女性)、鑑別診断、判断に迷う場合は擦過を行う
★まとめ:難治性角膜炎へのアプローチ
1. まず抗菌薬点眼を 1 週間使用してみる
2. 真菌を疑った場合は角膜擦過の鏡検・培養
3. ヘルペスやアメーバを疑った場合は PCR
4. 最後の手段は治療的角膜移植(切り取れるサイズのうちに)