鹿嶋先生は群馬大学眼科から聖隷浜松に国内留学された後、眼形成で国際的に有名なロサ
ンゼルスのUCLAに国際フェローとして留学された。
○実際の眼形成手術例
- 甲状腺眼症による眼球突出等の改善
非活動期でも眼球突出は改善が不良であることが多い。
眼窩は正常では45°横に開いているが、甲状腺眼症では変化してしまい見た目に大きく影響が出る。
- 眼窩減圧術
- 内下壁からの減圧⇒複視の発生率が高い(60%程度)
- 深部外壁からの減圧、眼窩脂肪の減量⇒より複視の発生率が少なく、現在主流となっている
眼窩減圧術により眼圧の低下も得られる。
生まれつきの眼球突出の改善にも眼窩減圧術が有用。
- 眼窩腫瘍
眼窩外からのアプローチはより高侵襲
現在はより低侵襲(重瞼切開、下眼瞼のラインでの切開、目尻側の切開など)
- 眼窩底骨折
日本では経皮アプローチが主流だが、オキュロフェイシャルクリニックでは経結膜アプローチ(海外では主流)でされている
経結膜アプローチの利点
@皮膚瘢痕がない
A縫合が少ない(0〜2針程度)
B開創・閉創時間の短縮
Youtubeの鹿嶋先生のチャンネルにて手術動画も公開されている。
- 義眼
義眼台はできるだけ大きなものを入れた方が良い(より体積が大きいため)
フィラーやヒアルロン酸注入も併用し、義眼側の陥凹を改善することができる
- 先天性眼球陥凹
眼窩先端部にヒアルロン酸を注入する(サーフロ針を用いる方法)
- 眼瞼手術
MRD3(情報指示のmarginの位置)により挙筋短縮の可否を決定する(角膜にかぶってい
る場合は挙筋短縮も併用した方が良い)。当てはまらない場合は皮膚のたるみを取るだけ
でもかなり改善する。
- 腱膜性眼瞼下垂
先天性の場合、よりしっかりと前転させることが大切(挙筋の作用が元々無いため)
○眼瞼内反
- 先天性:穿通枝の発達異常。10歳以上になると自然寛解しなくなるため手術適応。
- Marginal entropin:慢性炎症による。高齢者に多い。Hotzの適応。
- 退行性眼瞼内反症:水平と垂直方向の弛緩。オキュロフェイシャルクリニックでは初診時に処置室でLER plicationを行う(垂直方向の弛緩改善)。再発例にはLTSを施行する(水平方向の弛緩改善)。
- 睫毛乱生
毛根除去(顕微鏡下で20Gブイランス等を使い、1本1本切除していく)
wojno法(まつげを根元から連続的に切り取る)
- 睫毛重生
先天性やStevens-Johnson症候群、眼類天疱瘡の方など。治療は毛根除去で1本ずつ切除するのみ。
- 鼻涙管閉塞症
涙管チューブ挿入術(涙嚢炎があると成功率が50%程度)
鼻涙管吻合術(涙嚢炎があっても成功率が高い)。鼻内法(静脈麻酔が必要。皮膚瘢痕はなく、涙小管のポンプ機能も温存される。)と鼻外法(局所麻酔で可能。皮膚瘢痕が残る。顔面神経損傷が7%程度の確率で出る)があるが、現在は鼻内法が主流。
急性涙嚢炎に対しても鼻内法による早期のドレナージが有用。
涙小管閉塞の合併には鼻外法が有利。
○保険と自費の違い
- オキュロフェイシャルクリニックでは、自費治療はより時間をかけて見た目を美しく整えている。整容目的、美容外科の術後合併症の修正等は自費としている。
○他の眼科との違い
- 眼形成のみに特化
- 完全予約制にすることで待ち時間を短縮できる
- 小児(18歳まで)、眼科腫瘍、眼窩減圧等、日帰り全身麻酔にて行っている(覚醒の早い静脈麻酔で行い、非常にスピーディーに患者を入れ替えている。午前中のみで最大6件。麻酔科医に対するインセンティブもある。)
- アメリカでは眼瞼・眼窩手術は形成外科医は行えず、眼科を経た眼形成外科医が行っている。これからは日本も眼科医が眼形成を行う時代が来るのではないか。