「緑内障手術まとめサイト」
福井大学医学部 眼科・教授 稲谷大先生
●背景
- トラベクレクトミーの件数は激減
- プレートありのチューブシャント術が激増
- iStentなどのMIGSが登場
●本日の内容
- トラベクレクトミーの適応
- 難症例に有効なチューブシャント手術(ロングチューブ)
- 白内障のある緑内障にはMIGS
- 濾過手術の分類
- 線維柱帯切除術
- チューブシャント術 プレートあり・なし
- 房水流出路再建術
- 線維柱帯切開術 フック、ナイロン糸、トラベクトーム
- 白内障手術併用眼内ドレーン
1.トラベクレクトミーの適応
強角膜切開フェイコ後のトラベクレクトミーは結膜瘢痕があるために有意に予後不良である
エクスプレス:レクトミーと類似した手技。MMCを用いる。房水の流量が安定しており、術中の前房虚脱が少ない。虹彩切除が不要なので易出血例によい。
レクトミーとエクスプレスの比較で核白内障が進行しにくいというデータがある。 (=虹彩にダメージを起こすことが白内障進行に影響を与えている?)
トラベクレクトミーvsエクスプレス(有水晶体眼)
角膜内皮細胞減少がエクスプレスの方が大きい→PEも含まれていること、phakiaなのでチューブの向きが角膜寄りになっていることが要因とされる
<まとめ1>
初回手術にはトラベクレクトミー
エクスプレスも選択(虹彩切除をしないので特にワーファリン内服例によい)
2.難症例に有効なチューブシャント手術(ロングチューブ)
アーメド、バルベルトなどのチューブシャント術(アーメドはバルベルトよりプレートが小さい)
→レクトミー無効例+ぶどう膜炎、NV、ICE、続発小児緑内障などに適応
保存強膜…アルコール漬けで室温保管可能、ぱりぱりに乾燥した状態、手術開始時に生理食塩水でふやかしておく
チューブシャント術の際にチューブの部分を被覆するために用いる
(以前は強膜フラップを作成しその下にチューブを挿入していたが、チューブ露出することもしばしばあり、保存強膜を推奨する)
初回手術はレクトミーのほうが成績がよい。
眼圧はレクトミーのほうが低くなる。チューブシャントでは点眼併用になってしまう。
正常眼圧緑内障で眼圧を下げたいときはチューブシャントは苦手。
アーメドvsバルベルト
アーメドは点眼併用でhighteen
アーメドは低眼圧に陥りにくい(ぶどう膜炎後などは毛様体機能が低下するので後期に眼圧が低くなることがある)
前房挿入はチューブ付近の内皮が減少する(まずチューブ付近→角膜中央→対側の順)
硝子体腔に入れると内皮は減らなかった
チューブと角膜内皮とのなす角度が鋭角なほど内皮が減りやすい
<まとめ2>
結膜瘢痕例やぶどう膜炎にはアーメドを
それ以外の難症例にはバルベルトを
3.白内障のある緑内障にはMIGS
白内障のあるOAGにはMIGS
日本ではシュレム管への流出(流出路再建術のMIGS)のみだが、脈絡膜下、結膜下へ流出する濾過手術のMIGSも存在する
iStent
白内障手術と併用することで9%の眼圧下降と1.33剤点眼を減らせる
(白内障手術のみでも4%眼圧下降し、1.01剤減る)
→白内障手術と併用する必要がある
カフークデュアルブレード(シュレム管内壁と線維柱帯組織が短冊状に切り取れる)、マイクロフックは前房出血多い、眼圧スパイクも多い
早期中期の白内障を伴うOAGにはiStentがよい
iDose(iStent+トラボプロスト徐放)
DUESがないのでよい
他にもドラッグデリバリーシステムのMIGSがある
<まとめ3>
白内障のあるOAGにはMIGSを
<総まとめ>
POAG,NTG,XFG
- 初回、白内障ありならMIGS+白内障手術
iStent(早期中期),カフーク、マイクロフック(後期)
- 初回、IOL眼 結膜瘢痕例 アーメド(結膜切開IOL眼の初回手術)
- 非初回 バルベルト
- それ以外はトラベクレクトミー(phakic 非白内障OAGの初回手術と角膜切開IOL眼)やエクスプレス(ワーファリン内服)
UveG,NVG
- 初回 アーメド(UveG)、バルベルト(NVG)、後房挿入バルベルト(硝子体術後)
- 非初回 バルベルト
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