「オキュラーサーフェス感染症の診断と治療戦略」
広島大学病院 眼科 診療教授 近間 泰一郎 先生
【起炎病原体の違いによる病巣の特徴】
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グラム陽性菌 |
グラム陰性菌 |
真菌
酵母菌 |
真菌
糸状菌 |
アカント
アメーバ |
形状 |
円形 |
輪状
円形 |
円形 |
不正
衛生病巣 |
多発性 |
境界 |
明瞭 |
不明瞭
強い浸潤 |
比較的明瞭 |
羽毛状 |
不明瞭 |
部位 |
中央部 |
中央部 |
中央部 |
中央部 |
中央部 |
原因 |
外傷
免疫抑制 |
CL装用 |
免疫抑制 |
外傷 |
CL装用 |
エンピリックセラピー(経験的治療)
↓起炎菌の同定:塗抹検鏡、培養、薬剤感受性の確認
ディ・エスカレーション(標準治療)へ
●MRSAに対する治療
・・・CP感受性あることも多い、バンコマイシン軟膏と合わせて使用
●コリネバクテリウム
・・・最近ではキノロン耐性が多い
【予想される起炎病原体別の初期治療方針】
起炎病原体 |
処方点眼薬 |
注意点 |
グラム陽性菌
(ブドウ球菌、肺炎球菌) |
セフェム+キノロン |
肺炎球菌:キノロン耐性多い
コリネバクテリウム:キノロン耐性50% |
グラム陰性菌
(緑膿菌、セラチア) |
アミノグリコシド+キノロン |
アミノグリコシドの薬剤毒性に注意(頻回・長期は禁忌) |
酵母菌(カンジダ) |
ポリエン系:ピマリシン
フルコナゾール:ジフルカン(自家:0.1%)
キノロン(混合感染予防) |
ピマリシンの薬剤毒性に注意(頻回・長期は禁忌)
フルコナゾール薬剤耐性増加傾向 |
糸状菌(フサリウム) |
ボリコナゾール:ブイフェンド(自家:1%)
キノロン(混合感染予防) |
MRSA |
クロラムフェニコール
バンコマイシン眼軟膏(オーダー制) |
キノロン耐性80% |
淋菌 |
セフェム(全身+局所):セフトリアキソン(ロセフィン)1回、ベストロン併用 |
- 3日間同じ治療をして治療効果判定
- 「念のために」の追加は極力しない
- 角膜保護剤は不要。最少数の点眼で開始する。
- 点眼回数は6回まで(細胞障害がつよい)
★塗抹で血球成分をみる!
クラミジア→好中球
アレルギー→好酸球
ウイルス→リンパ球
ex) 瞼結膜に点状出血、偽膜
→濾胞性結膜炎(クラミジアなど)と疑われがち。。
擦過をするとリンパ球→EKC!
EKC後びまん性上皮下浸潤
数年経って瘢痕化すると、不正乱視をきたす!
数年経っても再発する症例あり。長期に診ていく必要がある。ムンテラ大切。
病巣部で検出される細胞成分
多核白血球 細菌、真菌、クラミジア
単核球 ウイルス
好酸球 一つでもあればなんらかのアレルギー
形質細胞 クラミジア
角結膜上皮細胞
多核巨細胞・・・HSV、VZV
封入体・・・クラミジア
病原体
細菌・真菌
アメーバシスト
ギムザ染色:ディフクイック
グラム染色:フェイバーG
病原体(グラム陽性/陰性)
蛍光染色:ファンギフローラY → 真菌、アカントアメーバ
血液寒天培地:細菌
サブロー寒天培地:真菌
アカントアメーバ培地 掻爬した上皮を乾かないように滅菌生理食塩水につけておき、検査室で塗布する。
病原体の同定
塗抹と培養 48%
塗抹のみで陽性 38%
→塗抹を行うことが非常に大切。
感染性角膜炎の治療は塗抹検鏡によって行うことが大切!
・迅速診断可能
・鑑別診断
・起炎菌同定
・自己診断へのフィードバック
ex) 7歳 男児
膿瘍と免疫輪・・・真菌を最も疑う!
酵母型真菌による角膜炎
アルテルナリア
ススカビ属
自然環境中に広くみられる。
・フルオレセイン染色をしよう
・問診で観戦の背景因子を探ろう
・起炎病原体・原因を知る努力をしよう
・角膜だけでなく周囲(結膜、睫毛根、眼瞼縁など)も観察
生体共焦点顕微鏡
血球などよくみえる
細菌、真菌かそうでないかは予想がつく。 |