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ドーナッツセミナー実施記録
・2019.05.30 第157回ドーナツセミナー実施記録
先天色覚異常の診断と対応の実際
東京女子医科大学病院 眼科 中村かおる先生

【outline】

  1. 色覚の仕組みと色覚異常
  2. 先天色覚異常の色誤認
  3. 色覚と社会生活
  4. 検査診断
  5. 生活指導と対応

1.色覚の仕組みと色覚異常

1色覚 いわゆる全色盲(まれ)見ている世界はモノクロに近い
2色覚 錐体視物質の1つが欠如 いわゆる色盲
異常3色覚  錐体視物質の1つが異常 いわゆる色弱

1型 L錐体の異常 赤
2型 M錐体の異常 緑
(3型 S錐体の異常 まれ)

遺伝形式は伴性劣性遺伝
日本人 男性5% 女性0.2%

 

2.先天色覚異常の色誤認

シミュレーションツールでの疑似体験
→どんな風に見えているかの理解に使われるが、実際はそぐわないことも多い

色名とは、体験の蓄積により獲得される。
色覚異常では色感覚が全く異なるのにもかかわらず、正常色覚の名付けた色名に対応しないといけない。
そのため、複数の色の識別が難しかったり、瞬時に正しい色名を判断するのが難しかったりする。
ただし、学習によって対応させることはできる。→実際には生活で困らないことも多い。

色誤認に対して用いられるのが色名呼称検査
基本色名11語に限定 赤・オレンジ・黄・茶・緑・藍・紫・ピンク・白・灰色・黒
鮮やかな色は誤答率が少なく、グレイッシュな色になるほど誤答率が上がる

黄緑 2色覚でオレンジと答える人がいる(2割程度)
低明度緑 茶色の誤答
低明度青  2色覚のほとんどが紫と答える

<先天色覚異常の混同色>

  1. 赤と緑
  2. オレンジと黄緑
  3. 緑と茶
  4. 青と紫
  5. ピンクと白・灰色
  6. 緑と灰色・黒
  7. 赤と黒
  8. ピンクと水色

1〜8 1型色覚
1〜6 2型色覚

<誤答の誘発条件>
面積が小さい 明度差が小さい 彩度が低い
うす暗い場所 短時間・瞬時の判断

2色覚であっても高彩度の赤と緑は正答率が高い為、日常生活は困らないことが多い

 

3.色覚と社会生活

色誤認は自覚しにくい
先天色覚異常の最大の問題点!

幼少期には色を誤りやすい(まだ経験による学習が不十分なため)
小児における誤認の例↓
赤信号で歩いてしまう 塗り絵の色が変わっている LEDランプの色 歯ブラシ間違い 色鉛筆の色を選べない

大学1年生へのアンケート
 2色覚 「困ったことがある」 9割
 3色覚 3割

色覚異常対応チョークが普及したものの、実際はそれほど正答率はあがらず、あまり変わらない。

色覚体験の蓄積により誤認は減ってくる。
それでも難しいのが電光掲示板、鉄道路線図、色を使った携帯ゲーム(ex. パズドラ)
最も難しいのはLED(パソコンの電源on/offなど)

色覚による職業の制限
「正常色覚であること」と明記:電車運転士 航空管制官 自衛官(航空業務) 航空海上保安官 パイロット(一部)など
「強度色覚異常不可」:警察 自衛官 海上保安官など

 

4.検査診断

石原:スクリーニング
パネルD-15:職業適性に用いられる 強度弱度の判定
アノマロスコープ:分類

石原色覚検査表
 14表 健康診断 学校健診
 38表 眼科での精査
石原色覚検査表Uで新たに加わったのは環状表(ランドルト環のように見える)
誤答の場合、方向を間違える(↔数字のものは読めないことも多く苛立つ患者も多い)
誤読4表以下が正常色覚だが、分類表での型分類は参考程度に!

注意点
・正常でも読みにくいこと、2色覚でもほぼ正読することもある
・保因者でも読みにくいことがある
・回答を暗記してのぞむ患者に注意

女児が読めなかった場合の鑑別
 @色覚異常 A保因者 B心因性

パネルD-15
記録用紙の点線と平行な横断線が2本以上あるとfail
全く無秩序な線になった場合、検査を理解していない、集中していないという可能性にも注意

 

4.生活指導と対応

ほとんど日常生活には問題なし
過度に心配しないように安心させる
受診者の生活状況に応じた具体例を提示

弱度の場合は学業でもほとんど困らない
1型では赤色の電光掲示板などに注意するよう指導

指導の要点
・10代後半
 色誤認を理解し、自覚するよう促す。多くの場合失敗回避への対策が可能であり、有益であることを理解させる。
・小学生以下
 気にしなくていいと安心させる。色のみでは見分けない習慣をつけさせる。
・保護者
 色誤認の特徴を説明する。過度な問題視はしない。しかし忘れないよう、穏やかに、必要に応じ配慮するよう、配慮すべき事項を指導する。

日本学校保健会のHP
色のバリアフリーを理解するためのQ&A

 

*総括*

  • 先天色覚異常は日常生活はあまり支障ないが、ときに色を誤ることがある。
  • 本人の自覚が乏しく、周囲も気付きにくい。
  • 学業や職業に困難を生じたり、就職時に制限を受けることがある。
  • 色誤認の特徴を理解し、自覚し、対策を講じれば色での失敗を避けることができる。
  • 学校には、色覚異常の児童生徒の学校生活や進路選択を支援することが望まれる。
  • 医師には、正しい検査・診断に基づく生活指導が求められる。

 

*質問*

・治療について教えてください(オサマ先生)
 色覚補正眼鏡というものが売られている。
カラービュー:ピンク色のレンズ 赤は明るく、緑は暗く映る 赤と緑見分けやすい
エンクロマ:黒っぽいレンズ コントラストがつくが…全くのインチキ

・学校健診の現状は?(島崎先生)
従来毎年やっていたが、H15年必須項目から外された。
任意での検査はできるが実施しない、希望しない
→気づかれないままの症例が増えた
H28年に規則改訂通知
現在では基本的に実施している
日本眼科医会では小1、小4を推奨

・保因者でも誤認してしまうのはなぜ?(煖エ先生)
モザイク状に置き換わっているのではないかと考えられている。ただし証明はされていない。
女性で片眼の色覚異常の者も存在する。

・保因者が誤認することがある、というのは個人における頻度の「たまに」なのか、誤認する保因者はいつも誤認するのかどちらでしょうか?(平山先生)
読みにくい人は読みにくい。正答するひとは正答する。仮説としてfoveaの近くがモザイク状に置き換わっている人は読みにくいのではないかと考えられている。

・研究として他覚的検査は検討されているのか(島崎先生)
VEPで差はでるもののばらつきが多い

・先天は両眼で検査、後天は片眼で検査?(伊勢田さん)
後天の場合は左右差でることが考えられるため片眼ずつ行う

 
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