網膜色素変性RPの診療が変わる 千葉大学大学院医学研究院眼科学 教授 山本 修一 先生
RPは25000人の罹患数
不治の眼病
桿体遺伝子異常から始まり、その後錐体が巻き添えにあって末期に視力低下
→つまり錐体の遺伝子異常はない
視力眼底視野も変わりなくても「見えなくなってきた」ということが多い
→網膜感度低下している(GPではわからない)
・ OCTでIS/OS line短くなっている
・眼底蛍光でFAF ring内の面積縮小(リボフスチンからの自発蛍光が低下する)
ELM,IS/OS,COSTラインは、視力よりも網膜感度とより有意に関連する
RPの合併症:CME8% ERM1.2% VMT1.2% MH 0.9%
→これらよりOCTは有用!
ex)RP+CME:トルソプト点眼(orダイアモックス内服)
* アバスチンは無効
<治療戦略> stageにより異なる
遺伝子治療→神経保護→人工網膜・再生医療
1、遺伝子治療(下記2疾患で遺伝子治療が有効と報告が出てきた)
@Leber先天盲(RPE65遺伝子異常)→rAAV2/2 RPE65ベクターを用いた遺伝子治療
rAAV2/2 RPE65遺伝子治療は、わずかで一過性ではあるが網膜感度を改善した。イヌモデルの結果との比較により、視覚路を動かすために必要なRPE65量について種の差があること、また予測したヒトにおける同必要量は、持続的で確実な効果を得られる用量には達していなかったことが示された
(→Bainbridge JW, et al. N Engl J Med. 2015;372:1887-1897. Epub 2015 May 4.)
Aコロイデレミア(CHM遺伝子の変性 X連鎖性劣性遺伝)
脈絡膜(コロイド)と網膜の変性によって進行性の視力低下を起こす疾患。子供の時には薄暗いところを歩けないという夜盲がもっとも普通に見られる最初の症状。病気が進むにつれて、視力の低下がおきるが、輪状暗点で始まり、その暗点は中心と外方の周辺視野に同時に広がってゆく。この病気は一生進行。
→正常なCHM遺伝子のコピーを持たせたウイルス(無害化されたウイルス 通称:ベクター)を注射
(http://healthtechnews.jp/2014/01/20/gene-engineering-cure-blindness/)参照
2、神経保護
ご存知のレスキュラ点眼(ウノプロストン、PG関連薬)
0.15%ウノプロストンによる中心4点での網膜感度の改善について(Phase3);24週までは有意に進行を抑えるがそれ以降は微妙
であり、やはり初期ー中期のRPでないと有効でない可能性
3、人工網膜・再生医療
*人工網膜*
・米:pars planaから眼内に電極を入れ、網膜に固定する
・ 独:網膜下に入れたチップからの信号を一度眼外に出して、また眼内にシグナル送る(まだ2人しか執刀できない…)
・日:阪大ではsclera内電極埋め込み
*網膜再生*
iPSによる網膜再生
AMDでは中心に植え込みで良いが、RPではどこに注入するか?
→山本先生は、移植視細胞がhost網膜と結合するか研究されて、変性早期:視細胞が上位ニューロンと結合する!(後期ではシナプス形成ない….)
→早期に注入すると有効かもしれないが、果たして早期に視細胞注入するのか….
<RPの白内障手術について>
チン弱い、嚢収縮強い、柔らかい
術後視野進行に影響しない!
IS/OS lineと術後視力変化:IS/OS line保たれてると1.0でうるので、
術前でIS/OS checkしよう!
明るいところでは見やすいが、暗所では見にくいのは変わらないこと
を伝える
<TAKE HOME MASSAGE>
・OCTと網膜感度→正確な病状の評価出来る
・臨床研究の進展→不治の病ではないと言われる時代が来る
・白内障手術→OCT使いましよう (レンズはyellowで3ピースで)
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