ポリープ状脈絡膜血管症診断のための新たな展開
東京女子医科大学 古泉英貴先生
AMD:社会的失明疾患第4位
広義の滲出型AMD
・典型加齢黄斑変性
・PCV→日本人最多 54.7%
・RAP
PCV診断基準
・橙赤色隆起病巣
・IAでのポリープ状病巣
※IAを用いずに確定診断ができたのは47-70%
PCVの典型的OCT像
・double layer sign
・RPEの急峻な隆起(ポリープ状病巣)
AMDの治療
・光線力学的療法(PDT)
・抗VEGF薬治療
・PDT+抗VEGF薬治療
PDT
・PCVでは他のサブタイプに比べてPDTの成績が良い
・PDTの合併症として網膜下出血がある。
・PDT単独では出血が17.7%
→出血を減らすため抗VEGF薬との併用
抗VEGF治療
・ルセンティスの毎月の注射で視力が改善
・ポリープ消失効果はルセンティスよりもPDTの方が高い
PCVに抗VEGF薬は効くのか?
→EVEREST STUDY(PDT単独 VS 抗VEGF単独 VS 両者併用)
PCVの日本での治療指針
・視力0.5以下ではPDT単独あるいはPDT+抗VEGF薬併用療法・・・併用療法が現在の主流。
・視力良好例では抗VEGF薬単独治療も考慮する
PDTは本当に必要か?
典型AMDと比してPCVでは病態にVEGFの関与が少ない
→PCVの症例によってVEGFの関与に差がある?→抗VEGF薬の効きやすいPCVがある?
非侵襲的眼底診断法によるPCVの評価
@眼底自発蛍光撮影
・RPE細胞のリポフスチンを視覚化
・PCVでは過蛍光リングが見える
AOCTによる脈絡膜断層撮影(Enhanced-Depth Imaging OCT(EDI-OCT))
・撮影中ディスプレイの上部が高コントラスト、高解像度である
PCVでは典型AMDよりも脈絡膜が厚い
→PCVはただ単にCNVの先端が拡張した産物ではなく、脈絡膜の構造自体にも差がある。
滲出型AMDの脈絡膜厚
PCV>典型AMD>RAP
→ところが、PCVでは平均の脈等膜は厚いが、脈絡膜の薄いPCVも存在する。
脈絡膜血管透過性亢進所見のあるPCVの特徴
・CSCの既往が多い
・両眼性病変を取りやすい
・脈絡膜が厚い
・ルセンティスの治療効果が弱い
PCVにおいて、PDT>抗VEGF薬となる条件は?
@大きいポリープ
A脈絡膜血管透過性亢進所見
・PDT前後の脈絡膜変化:PDT前よりも脈絡膜が薄くなる
(ルセンティスでも脈絡膜厚は減少するがPDTに比べて非常に微々たるもの)
まとめ
脈絡膜を”正常化”するという概念がでてくる!
病的近視診療のトピックス 東京医科歯科大学 大野京子先生
近視性CNV
・強度近視の10%に発症
・1/3では両眼性片眼に生じてから約8年で他眼に発症
・100% type2 CNV
・進行期分類
- 活動期(hemo)
- 瘢痕期(Fuchs’ spot)
- 萎縮期(CNV related macular atrophy)
・近視性CNVの自然経過は不良
CNVと限局性萎縮病変の判別
→限局性萎縮病編は中心窩から外れて始まり、二次的に中心窩を巻き込むことはない。
近視性CNVの診断
・滲出性変化が強い症例では診断が容易
・AMDなどと異なりCNVが出血で覆い隠されることはまず無い
・しかし、小さいCNVの診断はしばしば難渋
・網膜分離を伴う近視性CNVではserous RDとの判別が難しい
近視性CNVを見逃さないために
・自覚症状(特に“ゆがむ”)をよく聞く
・黄斑と視神経は拡大前置レンズでよくみよう
・萎縮が強い症例ではさらにわかりずらいので、できればroutineにFA,OCT
CNVの鑑別診断
@LC(Lacquer cracks)形成による単純型出血
・FAまでやれば診断に迷うことはほぼない。
・まれにBruch膜の断裂が修復されるまでの期間にCNVが生じることがあり注意
Adome-shaped macula(DSM)
・病的近視眼における黄斑の前方への突出
B萎縮期CNV内の出血
CNVの活動性
FAでは82%に検出できたがOCTでは49%
dye laekage:活動期 tissue staining:その他
近視性CNVの治療
@PDT
A抗VEGF薬(ルセンティス)
・中心窩外のCNVは消失することがある
・ところが、中心窩CNVでは長期的には萎縮の発生が問題(→Bruch膜の拡大が萎縮の正体)
ぶどう腫とは?
→眼球の周囲の半径よりも小さい曲率半径を持つ突出
・ぶどう腫があると後極への負担が大きい
眼球形状と眼軸長はパラレルではない
網膜や視神経を保護する強膜は繊維組織で脆弱
→強度近視は二次的に強膜の病的形状を引き起こす
軸性の近視
・赤道部が伸びる(→peripheral avascularzone)
ぶどう腫
・上方エッジがより急峻、下のほうが伸びる、萎縮・視神経障害
まとめ
ぶどう腫の有無により病変が異なる
→強膜やBruch膜への注目がなされている
|