涙液の流れの中で内総涙点は流涙をきたす人の中で3割が閉塞している。広範囲な涙小管をきたす場合治療が困難になるのでその前に治療介入することが重要である。特に抗がん剤の副作用には注意。
マネジメントとしてまずは問診(間欠性か、手術歴)、涙嚢部の視診・触診、フルオレセイン残留試験、通水試験が重要であり、機能的導涙障害・涙道狭窄・分泌性流涙を鑑別できる。分泌性流涙の場合は角結膜疾患を疑う。 狭窄の診断にはブジー、涙道造影、涙道内視鏡(直径1mm)が有効である。治療としてチューブ、涙嚢鼻腔吻合術が鼻涙管閉塞に対して施行される。
涙道内視鏡は昔からのファイバーテック社、最近開発された町田製作所のものがあり、耐久性や光量調節が後者は改善されている。涙小管はコラーゲンの筒の中に粘膜がはっているため白い。内総涙点閉塞、涙道涙石症、先天性鼻涙管閉塞などが診断できる。涙道涙石は以前はわからなかったものであり、タンパク質の塊が存在しているため通水試験はいいのに眼脂が出たり、嵌頓した日は流涙がみられる。これもチューブにからめて除去することができる。 先天性鼻涙管閉塞に関しては膜様閉塞であり、5−20人に1人認められ、9割の人が1歳までに自然開通するため、学会の指針としては1歳まで待機し全身麻酔で検査を行うが、演者は1歳未満でも局所麻酔にてブジ―を施行している。
チューブはステンレスからテフロンへと変わり、方法も直接穿破法DEPからシ―ス誘導穿破法SEPや鼻内内視鏡下に鼻腔からシースを引き抜くSGI法などが確立されてきた。進化に伴い眼科医にとって不得手である鼻腔からのアプローチを排除したものも出てきたためより施行しやすくなっている。 NSチューブ:@は20年前からあり、ラクリファースト:Aはポリウレタン親水性コーティーングがされている。片方が盲端になっていたため0.3mmの穴をあけて排菌性を良くすることで永久ステントの可能性も模索されている。
・内総涙点閉塞CCO
・鼻涙管閉塞NLDO
に対して@とAの比較を行うとCCO単独の場合有意差はなく、CCO+NLDOの場合Aが有意に通水率が高かった。Aは開放端により分泌物の貯留が少なく、チューブ表面が親水性であるため涙道との摩擦が軽減し炎症が遷延しないことが予想される。4mmのベリーショートタイプのチューブもあるが、涙嚢から鼻涙管の所で医原性を作りやすい。
これからの展望と課題
・広範な涙小管閉塞の治療: TS-1使用は増加するため今後症例が増える。チューブの種類、挿入法を工夫する。心臓カテーテルで使うようなバルーン拡張術も登場してきた。
・先天性涙道閉塞: EKC後の閉塞も多いため鑑別をしっかりと。一般的にCCO, NLDOであれば治癒率は65%。DCRを0にできるように。
質問
・プラグ迷入を繰り返す人に対しては
粘膜の炎症と浮腫が続き狭窄してしまうため、涙嚢摘出が良い。
・最初に我々がやるべきことは
演者の理想は"近医で治れば一番"。内視鏡をやれば狭窄は解除できるが、自覚症状がとれるとは限らない。まずは盲目的にブジーを。そしてチューブを検討していく。