@ 涙液三層構造
A 蒸発亢進型ドライアイ
B ドライアイのコアメカニズム
C 現在の治療薬の位置づけ
に関してご講演いただいた
@ 涙液三層構造について
1.ムチン層
膜型ムチン:MUC1.4.16⇒角結膜上皮の細胞表面を構築
分泌型ムチン:MUC5AC,7⇒結膜杯細胞より分泌
2.油層
●二層構造
・極性脂質⇒涙腺分泌であろう
・非極性脂質⇒マイボーム腺分泌
●作用
・表面張力を下げる→リン脂質の関与が大きい
涙液にはリン脂質存在、おそらく涙腺より分泌されている
マイボーム腺分泌脂質は非極性脂質がほとんどであリン脂質存在しない
極性脂質としてOAHFAがわずかに存在するのみ
Cf)MGDに脂質を供給するといいのか?
)ひまし油、オリーブオイル⇒効果ないであろう
ほぼオレイン酸、リノール酸といった遊離脂肪酸でありOAHFAは存在せず
formingの原因となる
)タリビット少量軟膏塗布療法⇒効果あるであろう
基材の脂質から考えると効果ありそう
A 蒸発亢進型ドライアイについて
涙液分泌量1-1.5μl/min 涙液量7.1-10μl 涙液交換率10-15%/min
涙液流量1.2μl/min 蒸発量0.16μl/min 涙液で失われる蒸発量10-15%
・温度と送風によって蒸発量は増加する
・in vitroでは油層が蒸発量に影響与えていないdetaもある
・涙液不安定型という名称が妥当であろう
B ドライアイのコアメカニズムについて
欧米の診断基準DEWSにあって日本の診断基準には無い根本的なものとして浸透圧へのアプローチがあげられる
浸透圧の上昇が炎症を惹起し、角結膜上皮障害が誘導されると考えており、欧米ではドライアイを炎症性疾患の位置づけでとらえている
■浸透圧
涙液浸透圧の上昇が最も優れた診断法として欧米では認知
ドライアイでは蒸発量が正常の2倍、流量が1/2になっており高浸透圧を呈している
In vitroのdetaでは高浸透圧がサイトカイン・酵素の上昇といった炎症性変化を惹起し、角結膜上皮への直接的作用・涙液不安定性への間接的作用を誘導していると考え、ドライアイを炎症性疾患としての切り口で欧米ではとらえている
そのため治療としてステロイドやシクロスポリンが効果的であるという根拠となっている
浸透圧の従来測定法は氷点降下法であったが新たな測定法として電気インピーダンス法を用いたTear Labが開発されている
それでも涙液浸透圧測定値はドライアイと正常者間においてオーバーラップが多く、cut off値を決められないのが現状であり測定意義が薄いため有用性低いのが現状である
現在測定している浸透圧はメニスカス浸透圧であり涙液膜浸透圧を反映していないというのが欧米での位置づけであり、涙液膜浸透圧測定法と測定値の意義が課題となっている
C ドライアイ治療薬
*図1
ムチンが今後は治療の主座になり、ジクアホソルNa、レバミピド、ヒアロン酸を軸とした治療方針となっていく
ステロイド、血清、人口涙液も補完的な役割として必要とされる。