西暦(年) |
1997 |
2002 |
2006 |
2007 |
DM患者数(万人) |
1370 |
1620 |
1870 |
2210 |
☆2025年の予測数(DM+DMの可能性のある患者数)
現在 6700万人 → 2025年 9940万人
- 血糖値、体重、血圧、血清脂質の良好なコントロール状態の維持が重要で、これらが合併していると、糖尿病網膜症の進展が早い!
@糖尿病網膜症と血糖コントロール
血糖コントロールの指標(JDS)
|
優 |
良 |
可 |
不可 |
HbA1c(%) |
5.8未満 |
5.8〜6.5未満 |
6.5〜8.0未満 |
8.0以上 |
- HbA1cの算出方法:日本ではJDS、欧米ではNGSP
→日本糖尿病学会の提案: NGSP相当値(%)= JDS値(%)+0.4(%)
2010年7月1日より国際学会などの発表ではNGSP相当値を用いる
◎急速な血糖コントロール是正後、糖尿病網膜症は・・・?
- 急速な血糖コントロール後の糖尿病網膜症進展(Early Worsening:以下EW)=13%
- EWの原因 ⇒ 最初の6ヶ月のHbA1c低下
- 緩徐に血糖値を是正した場合EWを防止できるか? ・・・不明
- EWのrisk factor: 糖尿病罹患期間、高血糖、網膜症
- 血糖コントロール後糖尿病網膜症の進展の頻度:10〜20%
risk factor
- 糖尿病網膜症の病気:重症単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症
- 糖尿病罹患期間10年以上、HbA1c9%以上
- 未治療 or 長期に渡り受診放棄
- どのくらいの速度で血糖コントロールすべきか?
→ EBMなし
- ハイリスクでは早めに網膜光凝固を行う
- なぜ血糖コントロール後糖尿病網膜症の進展の頻度が起こるのか?
- 網膜血流量↑ ⇒網膜症進展 ?
- サイトカイン発現異常:IGF-1など ?
- Hyperglycemic memory(高血糖の記憶)
:長期血糖コントロール不良の場合、血糖値が改善しても高血糖の影響が残存し、血糖改善効果が現れるには長時間を要する
◎周術期の血糖コントロール
- HbA1c6.5%未満が目標
- ハイリスク症例は緩徐に
☆水晶体再建術、硝子体手術
- 術前に血糖値改善、光凝固の必要はない!(術後の血糖コントロールで良い)
- 血糖を是正するとむしろ網膜症が進展する!(p=0.002)
A糖尿病網膜症の診断と病期
- 手段:眼底検査、細隙灯+前置レンズ、眼底写真、FAG、OCTなど
- 糖尿病網膜症は中間周辺部に好発する!
⇒後極のみしか見ないのは危険
- 眼底検査:血管・血管枝に注目!
血管の枝はあるか? そこに異常な血管はないか?
- FAG:日本では、「NPAの検出⇒選択的光凝固、黄斑浮腫に対する治療」であるが、FAGをしないと適切な治療はできない
◎病期分類
- 臨床的病期分類:Davis分類(一般的)、福田分類(東大系)、国際重症度分類
- 研究的分類:ETDRS分類(細かすぎて臨床には向かない)
病期 |
単純 |
増殖前 |
増殖 |
日本での比率(%) |
80% |
10 |
10 |
重症度 |
軽症 |
中等症 |
重症 |
病態 |
血管透過性の亢進 |
血管閉塞 |
血管新生 |
- 福田分類のメリット:増殖停止網膜症(A3〜A5)がある!
病期 |
所見 |
網膜症なし |
|
非増殖網膜症 |
軽症:MAのみ
中等症:MA異常だが、重症より軽い
重症:・4象限の全てに20個以上の網膜出血
・2象限以上で数珠状静脈拡張
・1象限以上で顕著なIRMA
(4-2-1ルール)
|
増殖網膜症 |
新生血管、硝子体出血、網膜前出血 |
B糖尿病網膜症の治療
|
日本 |
米国 |
開始時期 |
増殖前網膜症 |
重症非増殖網膜症 |
方法 |
選択的光凝固、汎網膜光凝固術 |
汎網膜光凝固のみ |
評価 |
眼底所見、FAG |
眼底所見 |
- 危険な増殖網膜症
- 中等度以上の硝子体出血、網膜前出血
- 中等度以上の新生血管 + 軽症1
- 明らかな乳頭上新生血管(網膜全体の血管閉塞を意味する) など
- 黄斑浮腫の分類:局所性 or びまん性
- 黄斑浮腫の治療:光凝固、硝子体手術、TA注射、抗VEGF抗体
2000年以降は薬物療法が主体
- 局所性黄斑浮腫 ⇒直接凝固
- 硝子体手術 ⇒ 黄斑浮腫改善 85%、視力改善54%
浮腫改善までに6ヶ月 80%、BCVAまでの期間6-12ヶ月が最多
- TA注射:
- 複数のサイトカインの発現以上を抑制
- 3ヶ月で効果が切れるが、効果なし、再発、維持の3つに分かれる
- 光凝固前にTAテノン嚢下注射 ⇒光凝固の黄斑浮腫の抑制、視力維持
- 抗VEGF抗体:
- 「抗VEGF抗体 → 光凝固 or 硝子体手術」:少ない侵襲で効果↑
- 血管新生緑内障でも急場をしのぐのに有効
- 黄斑浮腫に対しては、抗VEGF抗体よりも、TAの方が有効
← 糖尿病性黄斑浮腫では、VEGFだけでなくIL-6など他のサイトカインも↑
- 重症増殖網膜症 → bevacizumab → 硝子体手術
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