1.SjS患者の涙腺におけるαEβ7、E-cadherinによる腺破壊機序
- SiS患者の涙腺では腺周囲にCD8陽性T細胞浸潤が認められる
- anti-αEβ7で腺周囲が染まり、anti-E- cadherinで腺上皮が染まる
→ 「腺上皮細胞―E-cadherin−αEβ7―CD8陽性T細胞」の結合
- E- cadherinは5つのドメイン(D-1〜5)からなる
→どこがαEβ7との結合に関与しているか?
- homophilic adhesion(E- cadherinどうしの結合)
→D1、D2、D3、D4欠損では凝集しないが、D5欠損では凝集する
◎homophilic adhesionにはD-1だけでなく、D-2、3、4も関係している!
- heterophilic adhension(E-cadherinとαEβ7の結合)
→@どちらかの抗体を入れると2者は凝集しない
AD-5欠損では、E-cadherinどうしは結合するが、E-cadherinとαEβ7の結合はない
◎D-5 はE-cadherinの上皮間接着機能に影響を与えずαEβ7の接着を阻害する
標的として非常に適した部位だと考えられる!
2.SjS患者の涙腺におけるIP3R発現亢進
- IP3R(イノシトール三リン酸受容体)とは?
- 細胞内のCa2+貯蔵庫である小胞体に局在し、Ca2+を放出することで細胞内のさまざまな活動を抑制
- 発現低下によりアポトーシス抑制、IP3RからのCa2+増加によりアポトーシス亢進
- IP3R-2とIP3R-3のダブルKOマウスは唾液腺機能を低下させる
(Furarugi A.et.al.Science,2005)
- A)原発性SjS患者(RAなどの随伴なし)とB)non SjS患者の涙腺組織のRNA量を定量化すると、CD4,CD8,CD19ではAとBに差はなく、IP3R-1,IP3R-2,IP3R-3ではA<B
免疫染色でもBにおいて、IP3R-1,IP3R-2は腺管細胞に濃く染まる(IP3R-3は抗体がない)
◎SjS患者の涙腺組織では、IP3R-1発現亢進によってアポトーシスが促進され、腺破壊を惹起させる可能性があることが示唆された!
3.ミクリッツ病におけるFasL発現低下
- ミクリッツ病:SjSの一つの亜系ととらえられてきたが、(IgG4が患者の血中で高く発現することから)最近ではIgG4 related diseaseととらえられている
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腺機能 |
涙腺・唾液腺腫脹 |
SjS |
大幅に低下 |
著明ではない |
ミクリッツ病 |
若干低下 |
著明 |
この差はどこにあるのか?
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