治療用特殊コンタクトレンズとして、ボストンレンズ(強角膜レンズ)、オルソケラトロジーについて、吉野健一先生を講師にお招きしてドーナツセミナーを開催しました。
「ボストンレンズ(強角膜レンズ)」
ボストンレンズは、通常のコンタクトレンズより大きく直径16-23mmで、眼球の1/4を覆い、涙液が溜まりやすい構造になっている。
強角膜レンズは、重症ドライアイへの手術療法の補助として使用する場合がある。重症ドライアイ(スティーブンジョンソン症候群、眼類天庖瘡、熱傷後・化学傷後瘢痕性角結膜症等)は、涙液分泌量低下、眼瞼による物理的障害があるため、角膜移植後合併症が起こってしまうことがある。また、人工涙液、涙点プラグ、メディカルユースコンタクトレンズなどで満足いかないような重症ドライアイへの手術に代わる治療法として使用する場合がある。強角膜レンズ下に溜まる涙液プール、ドライアイの治療を行う。また、障害のある眼瞼に対しては角膜保護作用がある。
そして、強度不正乱視(角膜移植後、円錐角膜、球状角膜、ペルーシド角膜変性症等)に対しては、手術に代わる唯一の視力矯正手段として使用することがある。
「オルソケラトロジィーの基礎と臨床」
オルソケラトロジィーの特徴は、屈折異常を一時的に除去あるいは軽減するハードコンタクトレンズを、睡眠時6-7時間使用することによって、1週間から1ヶ月で目的の屈折に達することである。これにより、日中に目的の裸眼視力が保たれる。
適応は、−4.0ジオプターまでの近視、直乱視1.5ジオプター以下、倒乱視0.75ジオプター以下であることと、重症ドライアイがないことである。
矯正機序は非侵襲的である、角膜変化で可逆的で、安全性は高いと考えられる。
トラブルとしては、レンズの固着、センタリングがうまくいかないと不正乱視が起こる、点状表層角膜炎、細菌感染などが挙げられる。
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