今回の研究は、実際の診療に携わる医師が医学的必要性・重要性に鑑みて、計画して行うものです。この研究は当院の倫理委員会の許可を得ています。
1. 研究の意義と目的
人工角膜Boston KProはMassachusetts Eye and Ear Infirmary(MEEI:マサチューセッツ眼・耳病院)で1990年に開発されたPMMA(ポリメチル・メタクリレート)プラスチック製の人工角膜で、移植角膜片を装着して患者眼に縫合し、移植をします。米国では1992年にFDAで承認を受け、すでに700例以上に使用されています。術後はコンタクトレンズの24時間装用と永続的な点眼が必要となりますが、適切なケアを行えば、視力の回復は良好で、長期に安定して生着することが知られています。しかし日本国内での使用経験はほとんどありません。角膜移植手術後は拒絶反応や内皮細胞機能不全を起こせば再移植を行う必要がありますが、初回の移植より2回目、2回目よりさらに複数回目であると拒絶反応のリスクも高まり、最終的な視力予後や角膜移植片の生着率が非常に不良となることが知られています。そのようなハイリスクの複数回角膜移植を繰り返している症例に有効であることが海外で実証されてきているのが、人工角膜Boston KProです。本研究では、人工角膜Boston KProの臨床的な有用性、安全性を検討することを目的としています。
2. 方法
2009年4月〜2013年3月までに東京歯科大学市川総合病院眼科において人工角膜Boston KPro移植を受けた方が対象となります。視力、眼圧、シルマー試験、前眼部OCTなどデータを解析します。この研究のために追加して行う検査はありません。また、今後は通常の手術後に行う定期検査や診察以外のために来院していただく 必要はありません。
3. 研究計画書等の開示
本研究の実施に関連する資料は、あなたが希望された場合、他の被験者の個人情報保護や調査に支障がない範囲で、閲覧することができます。
4. 研究成果の公表と個人情報の保護
この研究から得られた結果は、学会で発表したり、医学雑誌に掲載されることがありますが、個人の人権とプライバシーは保護されます。各個人には、お名前 やカルテ番号とは別の研究用の番号が付けられ、データや資料はすべてこの研究用の番号によって、個人情報とは別に管理されます。研究用の番号と個人情報 (お名前とカルテ番号)の対応は連結表によって管理され、連結表は個人情報管理者の下、眼科学教室内に厳重に保管され、研究者および個人情報管理者以外は 連結表を見られないようにします。発表の際はデータによって個人が特定されないようにいたします。2015年3月末日までには、データ入力・研究解析が終 了し、学会や医学雑誌で発表される予定です。しかし、患者さんの名前など個人を特定できる情報を調査したり発表することはありません。あなたのプライバシーを守ることは、法律で義務づけられています。
この研究につきまして、患者様から研究に用いて欲しくないとご連絡いただきました場合には、データは使用いたしませんので、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。ただし、学会や論文発表後にご連絡をいただいた場合には、内容の取り消しはできませんので、ご了承ください。
5. 費用負担に関する事項
この研究によって、あなたの費用の負担は一切ありません。
6. 問い合わせ先
この研究について何かお聞きになりたいことがありましたら、いつでもご遠慮なく下記の責任医師にお問い合わせください。
実施責任者 平山 裕美子
お問い合わせ先:272−8513 千葉県市川市菅野5−11−13
東京歯科大学市川総合病院眼科学教室
tel:047-322-0151